老齢Fischer 344ラットにおける視機能の低下
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概要
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ラットの視機能に対する加齢の影響について, 30ヵ月齢の雌雄Fischer 344 (F344)ラットを用いて検討した. T型明暗箱を用いた暗所選択率は平均80%であり, 明暗識別能は低下していた. 網膜電図(ERG)は被験眼28眼中25眼で無反応であり, 残る3眼においてもERGのaおよびb波の振幅は低下していた. 網膜の病理組織学的検査では杵状体錐状体層および外顆粒層の著明な萎縮が観察されたが, ERGの反応が残存していた3眼の萎縮の程度はより軽度であった. さらに免疫組織化学的にはグリア線維性酸性蛋白(GFAP)陽性線維の増加が観察された. 以上の結果から, 30ヵ月齢のF344ラットでは光受容体細胞(視細胞)が減少し, 網膜の光に対する反応性の低下, さらに明暗識別能の低下等の視機能低下を招来していることが明らかとなった.
- 1993-06-15