コモンマーモセットの聴性脳幹反応に対するクリック音圧および周波数の影響
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概要
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高周波可聴域を有するコモンマーモセット(Callithrix jacchus)20例を用いて, 最大99kHzまでの可聴域全般にわたるクリック音刺激周波数および音圧が聴性脳幹反応(BAEP)の波形およびピーク潜時に及ほす影響を検討した. 4, 32および99 kHzの周波数刺激でBAEPを記録した結果, ピーク数は刺激音圧により変化し, 80 dB peak equivalent sound pressure level(pe SPL)の音圧の場合に最大数の明瞭な波形を得ることができた. このことから, コモンマーモセットを用いて広範囲の周波数にわたるBAEP記録を行う場合には, 80 dB pe SPLが適していると考えられた. また, 刺激音圧を100 dB pe SPLから50dB pe SPLに変化させるとBAEP各波の潜時は延長した. 一方, 80 dB pe SPLの一定音圧下で刺激周波数を0.5 kHzから99 kHzに変化させてBAEPを記録した結果, 刺激音圧に対する各波潜時および振幅の変化は一様ではなかった. すなわち, I波振幅は16kHzおよび32 kHz刺激時に増大し, IIIおよびV波振幅は4-8 kHzおよび64-99 kHz刺激時に増大した. これらの各波振幅の増大は末梢性あるいは中枢性聴覚経路の神経核活動の同調性に関連しているものと考えられた.
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 1997-07-25
著者
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