イヌホタルイ(Scirpus juncoides Roxb. var. ohwianus T. Koyama)種子の吸水特性
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
イヌホタルイ乾燥種子(含水率7%前後)の吸水は湛水土壌中条件下で含水率が5日目に約25%,9日目に約30%に達し,その後は変化しなかった。種子の吸水部位は花床部,発芽孔に限られていた。このため休眠覚醒種子の湿潤濾紙床での発芽率は,種子の花床部が下向き置床で高く80%以上に達した。一方,上向き置床では58%にとどまり,さらに刺針状花被片を切除すると16%に低下し,吸水には刺針状花被片が関与していることが示唆された。また,吸水は種子周辺の水ポテンシャルによって制御されていることが明確にされ,休眠覚醒種子内部の水ポテンシャルは-1.5MPa付近にあると考えられた。以上のことから,イヌホタルイを対象とした生物試験を実施する際に,休眠覚醒種子の発芽率を安定的に確保するには,花床部および発芽孔の周辺に水分が十分存在する状態で置床されることが必須条件である。
- 日本雑草学会の論文
- 2002-09-30