ラット腹膜炎モデルにおける多糖体とカルボキシメチルセルロース併用による腹腔内癒着と膿瘍形成の防止効果(実験動物学)
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概要
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Phellinus科のキノコより抽出した多糖体は制癌並びに抗炎症作用を有することがよく知られている.我々はcarboxymethylcellulose (CMC)とPhellinus科のキノコより抽出した多糖体の併用により,ラットの腹膜炎モデルにおいて癒着並びに膿瘍形成を抑える効力について検討した.72匹のSprague-Dawleyラットについて盲腸結紮と穿孔モデル(CLP)を用い実験的腹膜炎を誘発させた.24時間後再度開腹し,盲腸の結紮を解除した.腹水を採取し微生物学的検査に供した.ラットはランダムに6つのグループ,即ち,ringer lactate投与群(RL群),Pellinus gilvusより抽出した多糖体投与群(PG群),Phellinus linteusより抽出した多糖体投与群(PL群),CMC投与群(CMC群),及び併用群(PG+CMC及びPL+CMC群)に分類した.癒着及び膿瘍形或はCLP後7日で判定した.盲腸組織においてurokinase-type plasminogen activator (uPA),その細胞レセプター(uPAR),及びtumor necrosis factor (TNF)-αの発現をRT-PCRで調べた.微生物学的検査の結果は多細菌性の腹膜炎であることを示していた.癒着の形成はPG+CMC及びPL+CMC群で有意に減少していた(μ<0.05).膿瘍の形成はRL群を除く全ての群で減少していた(P<0.05).uPA,uPAR,TNF-αのmRANAはPG+CMC及びPL+CMC群においてRL群と比べて高い発現を示した.我々はこれらの結果より,多糖体とCMCの併用はそれぞれ単独よりも有意に癒着並びに膿瘍形成を抑えたこと,及びラット腹膜炎モデルにおいてこの効果は活性化されたマクロファージが産生するuPA,uPAR,TNF-αの線維溶解作用を調節することによりもたらされている可能性があるという結論に達した.
- 2004-10-25
著者
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Bae Jae-sung
College Of Veterinary Medicine Kyungpook National University
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Jang K‐h
Kyungpook National Univ. Daegu Kor
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Jang Kwang-ho
College Of Veterinary Medicine Kyungpook National University
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Jin Hee
College Of Veterinary Medicine Kyungpook National University
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JIN Hee-kyung
College of Veterinary Medicine, Kyungpook National University
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Jin Hee-kyung
College Of Veterinary Medicine Kyungpook National University
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