住戸の屋内空間の特性・性能に係わる計画指標について
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概要
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以上, 4節, 5節で見たことを簡単にまとめると, 次のようなことである。(1)住戸の水平方向の独立性に係わる特性・性能を代表させることができると思われる隣接型式と, 屋内空間係数fとの間には密接な関係があり, その関係は表-5に示されている。(2)集合方式に関係する, 住戸の間取りに係わる特性・性能を代表させることができると思われる, 各居室の受照・採光性と, 居室数当りの屋内空間係数f/cの値との間には密接な関係があり, その可能性としての関係は, (1)式で示されている。また, 全室受照充分値(f/c=0.9), 受照標準値(f/c=0.7), 全室採光限界値(f/c=0.4)の, 三つの境界値を指摘することができ, 充分値以上ではおそらく全居室に冬期日照があり, 標準値以上ではおそらく居室数の半数を越す居室に冬期日照があり, 限界値以下では, おそらく直接採光・通風のない居室がある。従って, 屋内空間係数fの値からは, 水平方向の独立性および間取りに係わる特性・性能, つまり水平方向の住戸の集まり方に係わる諸特性・性能を, かなり高い確率で予測することが可能である。また, これらのことは, 屋内空間係数fの値, 従って住戸のフロンテージ長さと住戸面積とが決まれば, 水平方向の住戸の集まり方に係わる諸特性・性能は, かなりの程度に決まることを意味している。従って, 計画段階において, 住戸のフロンテージ長さと住戸面積とが, 何らかの形で決められるとすれば, これら水平方向の住戸の集まり方に係わる諸特性・性能は, 計画段階での主要な判断要素のひとつでなくてはならないはずである。そして, その時の計画指標として, 屋内空間係数fは充分に有効であろうと思われる。
- 社団法人日本建築学会の論文
- 1982-05-30