風向直角方向に振動する角柱の空力不安定性について : 続報
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概要
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建築構造物のうちで種々の断面形状をなす角柱を例にとり, これらの角柱が風向直角方向に振動するときに作用する空気力(非定常空気力)の測定を強制振動法により行った。断面形状の変化あるいは高さの変化により非定常空気力と模型後流域の非定常な流れの特性とがどのように変化するかを, 無次元風速で約5から30の範囲で明らかにした。以下にまとめを記す。1)辺長比1 : 2, 1 : 3模型の場合, 共振風速付近で渦励振は生じにくくなる。逆に, 辺長比1 : 0.5模型の場合, 大振幅の渦励振を生じる。この原因は模型に加わる非定常空気力と振動変位との位相差が関係するようである。2)1 : 2, 1 : 3模型のように風向方向に断面が細長くなると, 共振風速以下の低風速域でピーク応答を示す振動が見られる。これは模型の前縁で剥離した流れが変位に比べ半周期以上の位相の遅れをもち, 模型側面に影響を及ぼすからであろう。3)1 : 2模型の場合, 模型が低くなるとギャロッピングの発振風速は高くなり, 空気力学的により安定となる。準定常理論を用いたギャロッピングの解析結果でも同様の傾向が見られるが, 定量的には発振風速の値に大きな差を生じる。4)振動の発生する風速域での非定常空気力と模型後流域の風速変動とは密接な関係がある。後流域の風速変動が振動子のような働きをして, 非定常空気力に何らかの影響を及ぼしているとも考えられる。5)無次元風速が高くなると振動模型に加わる非定常空気力の成分のうち, 渦による強制力が支配的となり模型の振動に伴なう付加的な空気力が小さくなると思われる。6)同期領域内において非定常空気力は正弦波に近い波形をなす。また, 同期領域は風向方向に断面が細長くなるにつれ拡がる傾向にある。これは渦の形成位置に関係するようである。7)ギャロッピングの解析に用いられる準定常理論を無次元風速で少なくとも30以下で適用することは疑問と考えられる。8)自由振動実験と強制振動実験による振動応答とが精度よく一致しており, 強制振動法の妥当性が検証された。9)建築構造物の空力負減衰効果による振動応答が, 構造物の形状及び質量減衰パラメーターの値によりどのように変化するかをある程度予想できた。
- 社団法人日本建築学会の論文
- 1981-09-30
著者
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