機関室艤装の現状
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概要
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1・1機関室の作業環境は船殻・艤装の配管・鉄艤・仕上・電装および塗装など幾種類もの職種が入りまじり, 面積当たりの艤装物量もかなりの量があり, その作業状況は非常に密度が高く複雑で定量的にその実態を把握することは非常にむずかしい問題である。船が大型化するにしたがいその災害も死亡事故につながる大きいものとなってくるし, そのなかでも高所作業における災害, すなわち墜落事故が大きいFactorをしめている。いずれにしても"人間尊重"の基本理念からも災害, とくに高所作業の除去は最優先して考慮しなければならない問題である。すなわち, 高所作業の徹底的な排除は造船所のイメージチェンジからもぜひ必要なことであり, 高所作業があるから足場を設ける, 安全ネットをはる, 命綱を使用などの保護対策も十分施行することは当然であるが, それよりも, 高所作業をなくする方向へ積極的に設計の初期計画の段階から強力に押し進めるべきである。これはいずれも造船所だけの問題でなく船を運航する船主乗組員にとっても保守, 点検作業などの容易さ, 安全性にも大きい効果をあげるものである。1・2最近, 日本の造船所が欧州各造船所に比較して艤装期間などでおくれているといわれ, 先般, 造船工業会の艤装部会より視察団を派遣し, 欧州造船所の実態調査が行なわれた。また, 国内においても機関艤装の各種委員会などで艤装期間の短縮, および艤装方法などがとりあげられ討議されている。以上の2つの項目は決して別々な項目でなく, 作業環境がよくなれば当然のことながら能率の向上, 精度の向上などに大きい効果があり, それが艤装期間の短縮にもつながるものである。安全性を十分確保した作業環境を船内作業にもとめても, 機関室艤装の作業密度から考えても非常に困難である。したがって, 作業工程の移行が大切である。すなわち, 発生するいろいろな作業を設計から現場搭載にいたるまでのことを十分考慮した, ある単位の作業を前だおしにして船内作業の極小をねらった, 先行艤装方法である。そこで現状の艤装方法を見直し, その問題点と対策について検討を加えてみる。
- 社団法人日本船舶海洋工学会の論文