寒冷地域における牛舎内環境改善の事例について
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概要
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冬期間における寒冷地の牛舎内環境は、舎内温度の不安定、湿度の上昇、汚染空気の充満など多くの問題をかかえており、これらに起因すると思われる疾病の発生、生産性の低下などが酪農経営に大きな打撃を与えている現状にある。このため、帯広市近郊の牛舎において、冬期の舎内環境改善を狙った牛舎改修を試みた結果、次のような知見と成果を得た。1)改修前の冬期の牛舎内環境は、湿度が高く、かつ、舎内で発生する汚染空気の排出が不十分であり、天井・壁面の結露・結霜もひどく、牛の生活にとって非常に不良な条件であるのみならず、作業面でも建物の保守上からも、改善を必要とする状態であった。2)そこで、適正な換気と結露・結霜の防止を主眼に換気扇の設置とそのサーモスタットによる自動運転化、断熱の強化、各部の密閉などの対策を行なった。その結果、外気温の極端な低下の場合も含め、牛舎内温度は7℃〜14℃、湿度も平均76.2%〜78.3%と良好な環境に保たれた。また結露・結霜も消失し、天井面は数日で乾燥状態となり、舎内の臭気も全く感ぜられなくなった。3)改善費用は総額212,700円で成牛1頭当り約6,600円程度と比較的安価に納めることができた。4)今後の問題点として、換気量の多少、換気扇のコントロール方法、排気口の位置、給気口の位置と断面積、断熱資材の設置方法などの点が指摘できた。
- 日本家畜管理学会の論文
- 1978-10-25