飼料成分から見たソルガム(Sorghum bicolor Moench)とスーダングラス(Sorghum sudanense (Piper) Stapf)の変異性評価と品種分類

概要

論文の詳細を見る
ソルガムとスーダングラスの市販55品種について, その生育特性にデタージェント法や酵素法による飼料成分組成を加味して変異の実態を明らかにし, 有効利用のための品種評価を試みた。品種の形態的, 生態的特性と利用形態によってわが国で統一されている5分類のうち, ソルゴー型に属する品種群の変異が突出して大きかった。飼料成分の主成分分析結果などから, ソルゴー型を糖蜜タイプ, 普通タイプ, 極晩生タイプに細分化すると, 各タイプ内の変異は形態, 生態および飼料成分組成のいずれについても小さかった。子実型, 兼用型, スーダン型, スーダングラスの4分類は成分組成にそれぞれ明確な特徴が存在し, 従来の区分の正当性が飼料成分からも証明された。また, ソルガムのデタージェント繊維含量とin vitro乾物消化率の間にはr=-0.98(P<0.001)の相関が存在し, 飼料価値は子実型≒兼用型>糖蜜タイプ>普通タイプ>スーダン型>極晩生タイプの順になると判断された。スーダングラスは繊維含量が高いが, その消化率が高い点でソルガムどの異質性が示唆された。
1999-04-30