関東地方におけるアンモニアの動態解析(技術調査報告)
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概要
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関東地方を対象領域として,領域内の4地点(狛江,神楽坂,我孫子,赤城)で,拡散デニューダーサンプラーを用いたアンモニア濃度の通年観測(2000年1〜12月)を行った。観測データをもとに,アンモニア濃度の季節変化や水平分布を解析し,これらに及ぼす発生源の影響,アンモニウム塩の生成,広域的な物質輸送の影響について考察した。アンモニア(ガス)濃度は観測地点間の差異が大きく,その濃度は夏季に増加し冬季に減少する傾向を示した。夏季にみられるアンモニア(ガス)濃度の増加には,気温上昇に伴うアンモニア発生量の増加が関与しており,都心に位置する神楽坂の濃度は人為発生源の影響を,また農畜産業が盛んな赤城の濃度は農畜産業発生源の影響を受けているものと考えられた。粒径が2.5μm以上のアンモニウム塩(粗大粒子)は,海塩起源のナトリウムや土壌起源のカルシクムと類似した挙動を示すと考えられ,その濃度は冬季に増加し夏季に減少する傾向を示した。粒径が2.5μm以下のアンモニウム塩(微小粒子)では,アンモニウムイオンの主な結合相手は硫酸イオン(SO_4^2-),硝酸イオン(NO_3^-),塩化物イオン(Cl^-)であり,その濃度には明瞭な季節変化がみられなかった。全アンモニアに占めるガスと粒子の割合はほぼ折半しており,粒子の大半は微小領域に存在した。三宅島の噴火によって放出されたSO_2は,大気中で硫酸(H_2SO_4)に変換してアンモニアと反応し,硫酸アンモニウムや硫酸水素アンモニウムの微小粒子を形成して,関東内陸まで長距離輸送されていることが示唆された。
- 社団法人大気環境学会の論文
- 2002-03-10
著者
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