ブナ苗のガス交換速度, 葉の微細構造および年輪幅に対するオゾンと水ストレスの単独および複合影響
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概要
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3年生のブナ(Fagus crenata Blume)苗のガス交換速度, 葉の水ポテンシャル, 光合成系IIの最大光量子収率(F_v/F_m), クロロフィル含量, 葉の微細構造および年輪幅に対するオゾンと水ストレスの単独および複合影響を調べた。自然光型ファイトトロン内に浄化空気を導入した浄化区と60nmol・mol^<-1>のオゾンを毎日7時間(11 : 00〜18 : 00)にわたって導入したオゾン区を設け, 各ガス処理区において, 3日毎に250mL灌水した土壌湿潤区と175mL灌水した水ストレス区を設定した。これらの4処理区において, ブナ苗を156日間(1999年5月10日〜10月12日)にわたって育成した。水ストレス処理によって, 葉の水ポテンシャルが7月以降に有意に低下し, ブナ苗の葉における純光合成速度(A_<350>), 気孔コンダクタンスおよび蒸散速度が8月以降に有意に低下した。また, 葉緑体内のプラスト顆粒が水ストレス処理によって有意に大きくなった。オゾン処理は, ブナ苗のA_<350>, CO_2固定効率, 最大純光合成速度, F_v/F_mおよび年輪幅を有意に低下させた。このオゾンによるA_<350>の低下は, まずRuBPカルボキシラーゼ/オキシゲナーゼ(Rubisco)含量の低下によって引き起こされ, その後はRubisco含量の低下と共に, RuBPの再生能力や光化学系活性の低下によると考えられた。また, 葉緑体内のプラスト顆粒がオゾン処理によって有意に大きくなったが, デンプン粒は有意に小さくなった。葉のガス交換速度, 葉の微細構造および年輪幅においてオゾンと水ストレスの有意な交互効果は認められなかったが, 両ストレスは相加的に作用し, 純光合成速度や年輪幅を著しく低下させた。
- 2001-11-10
著者
-
小池 孝良
北海道大学
-
船田 良
東京農工大学
-
伊豆田 猛
東京農工大学大学院共生科学技術研究部環境資源共生化学部門
-
伊豆田 猛
東京農工大学大学院共生科学技術研究院
-
渡辺 誠
東京農工大学大学院連合農学研究科
-
米倉 哲志
埼玉県環境科学国際センター
-
米倉 哲志
東京農工大学大学院 連合農学研究科
-
伊豆田 猛
東京農工大学
-
船田 良
北海道大学大学院農学研究科
-
本田 雪絵
東京農工大学大学院 農学研究科
-
OKSANEN Elina
Department of Ecology and Environmental Science, University of Kuopio
-
吉留 雅俊
東京農工大学大学院 農学研究科
-
渡邊 誠
東京農工大学大学院 農学研究科
-
Oksanen Elina
Department Of Ecology And Environmental Science University Of Kuopio
-
小池 孝良
北海道大学造林学研究室
-
渡辺 誠
北海道大学大学院農学研究院
-
本田 雪絵
東京農工大学大学院農学研究科
-
吉留 雅俊
東京農工大学大学院農学研究科
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