統合情報管理システムの最新動向と今後の展開 : ナレッジ・マネジメントによる知識資産の有効活用を目指して(ナレッジ・マネジメントとレコード・マネジメント : 新しい記録管理のあり方を求めて)
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概要
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わが国産業界を取り巻く市場環境は激変を続け、多くの企業ではリストラ/経営改革を強いられている。インターネットやEC(電子商取引)による情報共有基盤の急速な普及を背景に、時代は企業に「スピード経営」と「高付加価値経営」を求めており、その中で知識創造と知識管理を担うナレッジ・マネジメントが注目を集めている。本稿は、技術や業務ノウハウの蓄積、継承、共有化を図る「統合情報管理システム」を「ナレッジ・マネジメント・システム(知識の獲得、創造、蓄積、共有、利用のための機能的能力を開発し実践していく経営戦略手法を支え維持するシステム基盤)」の一種の原型と位置付け、そのシステム概要(コンセプト、仕組み、機能)、最新動向、今後の展開について詳述することに主眼を置いているが、知識経営を支えるナレッジ・マネジメント・システムという幅広い視点から統合情報管理システムを捉える必要があるため、企業の知識創造プロセスに基づく知識資産の内容とシステム化についても触れている。本稿で述べた統合情報管理システムは、性格的にまだまだ形式知の共有一元ファイル管理の側面が強いものであり、今後本格的なナレッジ・マネジメント・システムへと発展させて行くためには、基本的な課題として、1)暗黙知→形式知の変換を増幅するためのシステム技術を充実させることにより知識(形式知)の絶対量の増大を図ること、2)文書ファイル単位の知識管理に加えて、文書ファイル内のcontextualな知識の単位での業務ノウハウの組織化と蓄積・活用を可能とする機能強化を図ること等が挙げられる。
- 記録管理学会の論文
- 1999-09-15