情報公開の制度化と文書管理の課題 (<特集>情報公開と記録管理)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
政府は平成9年度内に情報公開法案を国会に提出すべく立案作業中だが, 関連する施策として文書管理の仕組みの整備が重要な課題となっている. 立案中の情報公開法案の基礎となっているのは, 昨年出された行政改革委員会の情報公開法要綱案だが, 同要綱案では, 開示請求の対象文書(行政文書)を決裁等を終了した文書に限定せず, 広く組織共用文書を対象にすることとし, あわせて「行政文書の管理」という項目を起こして政府に行政文書の適正管理を義務付け, 政令でその基準を定めるという構成としている. これは, 情報公開と文書管理は車の両輪であるとの考え方に基づくものである. 政府は, 現在, 情報公開法案の立案とあわせて文書管理の改善方策の検討を進めているが, そのポイントを整理すると, (1)個人文書と組織文書の区分管理の徹底, (2)行政事務の多様な実態を踏まえた文書管理基準の策定, (3)過去の文書, 電子情報等の含めた膨大な行政文書を管理するためのシステムの整備, (4)電子情報の管理のための新たなルールの整備, となる. また, 仕組みの整備だけでなく, その実践も重要な課題であり, その点も踏まえて実効あるシステムとなるよう, 検討を進めていく必要がある.
- 記録管理学会の論文
- 1998-01-31