行政の文書管理と文書館 : 歴史的な説明責任の有無と記録
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概要
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市町村にはたくさんの行政文書が保存されている。ただし、それらは文書館への移管を前提としたアーカイブとしてではなく行政の永年保存文書として保存されている文書である。現在の文書館論を中心としたアーカイブ学は、これら市町村の永年保存文書の保存理念にたいして、どれだけ有効なアプローチを確保しているであろうか。文書のライフサイクルの考え方とは別個に存在する永年保存の文書群は、アーカイブとどのように切り結ぶ文書群と考えたらよいのであろうか。日本におけるアーカイブ学は、古くからの記録管理の思想を正面から受け止めることができるのであろうか。情報公開法改正と市町村合併を目前にして、従来の都道府県立文書館を中心に展開された文書館論とは別に、市町村をベースにした新たな文書館論と記録管理の手法が問われるべき段階にいたっている。市町村文書館の現場から発想する、行政の文書管理のあり方について、従来的文書館論とは異なった視点を想定できないか、検討した。
- 2005-03-31