貴重書のデジタル化 : 「グーテンベルク聖書」の事例
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概要
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貴重書のデジタル化は、資料の保存と提供という図書館がもつ二つの基本的使命から生じる矛盾の解決策となりうる。劣化が進んだ資料を媒体変換によって保存できるだけでなく、デジタル化されたデータを代替物として閲覧に供することで、利用による原資料の劣化の進行も防ぐことができる。さらに、高精細画像を提供したり、検索機能や読み下しなどの付加価値によって原資料以上の情報量を持たせて提供したりすることで、代替物という消極的な意味をこえた、研究や教育の支援のためのより高度な情報提供サービスが可能になると期待できる。本稿では、慶應義塾大学HUMIプロジェクトによるグーテンベルク聖書のデジタル化を事例として、デジタル化のプロセス、貴重書に特化した撮影周辺機材(特にカメラ架台と書物保持架台)の開発、画像の提供から得られる教育支援・研究支援について検討した。
- 記録管理学会の論文
- 2002-03-31