介護者における腰部自覚痛と圧痛の解析 : 作業負荷および生活要因との関連
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概要
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東京都の6福祉施設に勤務する20∼60歳の男女介護職員552人を対象として,(1) 主観的腰痛が腰痛の他覚的所見と関連しているか,および(2) これら腰痛の自他覚所見が作業負荷と関連するのかを明らかにするために横断的研究を行った.腰痛健診峙に,医師が腰部圧痛の有無を確認し,また自記式質問票で腰部の痛み(自覚痛)の有無に加え,作業・生活要因および腰部を除く筋骨格症状や全身症状を調べた.腰痛症の診断に関して,腰部圧痛と自覚痛の一致率は男性67.0%,女性70.9%であり,腰部圧痛と自覚痛との間に有意な関連が男女とも認められた(P<0.001).作業および生活要因は因子分析により,「環境的作業負荷」,「生活要因」,「身体的作業負荷」,「精神的作業負荷」の4因子に分類された.要因別に検討すると,「身体的作業負荷」の腰部の圧痛・自覚痛に対する多要因(筋骨格・全身症状,年齢)調整Odds比は1.81∼2.79であり,男性の腰部圧痛を除き全て有意であった.全要因を独立変数に加えて解析すると,男女とも腰部自覚痛に「身体的作業負荷」が正に関連していた(P<0.05).この他筋骨格症状が女性の腰部の自覚痛・圧痛に正の関連を示した(P<0.05).以上より,自覚的腰痛は腰部圧痛と密接に関連し,かつ作業中の身体的負荷による障害を表す良い指標であると考えられた.今後,腰痛対策においては自覚的愁訴を重視するとともに,作業負荷の軽減を対策の中心に据えるべきであると考える.
- 社団法人日本産業衛生学会の論文
- 1999-09-20
著者
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