室名使用にみられるC.F.A.ヴォイジーの伝統性に依拠する設計思想
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概要
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本論文は、英国建築家C.F.A.Voysey(1857-1941)の住宅作品における室名使用を通じて、彼の設計思想の一端を明らかにすることを目的としている。初期の作品において、英国の伝統的住宅形式であるホール・ハウスの多目的な空間機能をもったホールを参照し、室名リヴィング・ルームを使用することによって新たな住宅への試みを提示したヴォイジーは、ドローイング・ルームという接客空間の排除を果たそうと努めるが、それまで労働者階級での使用しか例のなかったリヴィング・ルームは富裕な中産階級のクライアントには受け入れられなかった。そこでヴォイジーはマナ・ハウスで使用されていた多目的で多義な空間名称としてのパーラーに着目する。ヴォイジーは伝統性を重視する設計思想から伝統的な様式を参照することになったが、それは彼の個性的な解釈によるものであった。そしてヴォイジーのその解釈は、近代における中産階級の住宅に新たな方向を示すとともに、彼のこうした努力が近代住宅の基本となる平面構成の確立を導くことになったと考えられる。
- 2001-05-31
著者
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