英国におけるデザイン産業協会の活動からみたデザイン観の形成
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概要
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本稿は1920年代に停滞気味であったイギリスのデザイン改革運動の問題点を分析し, いかにそれが解決へ向かったかをデザイン産業協会(DIA)の活動を通して検討することを目的とする。「デザイン」を冠した初の団体であるDIAの設立(1915年)にもかかわらず, 1920年代イギリスではデザインの理念が混乱していた。背景には, 大衆に対してモダンデザインの宣伝方法を誤っていたばかりでなく, その展覧会で工芸作品と産業デザイン作品を混同展示することでさらなる混乱を招いたというDIAの政策不備があった。ライプチヒ博覧会(1927年)での失敗からこれを学んだDIAは, 大衆のモダニズムに対する偏見の緩和政策, そして, 当時の社会のなかでデザイナーが産業界で占める地位の確立その他の問題にも目を向け, 海外の影響からモダニズムをより生活に密着した形で推進し始める。その成果は, 会員アンソニー・バートラムによる大衆のニーズに立脚したモダンデザインの解説書, 『デザイン』に確かな形となって現れた。
- 日本デザイン学会の論文
- 2000-01-31