構造ジェニュイン・ムカルナス・ドームの定義とユニットの分析
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概要
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ムカルナスは10世紀に出現し、その後900年余り続いたイスラムの造形である。その形と多様性は、時代により、さまざまに変化、発展してきた。ムカルナスの多くは建築に付加された装飾であった。しかし、すべてのムカルナスが建築装飾であったわけではない。これまでの研究では、建築装飾としてのムカルナスの特性がすべて作例に当てはまるかのように論じられてきた。本論文は、そのような一般化が必ずしもすべてのムカルナスに適合しないことを指摘し、建築構造に付加される装飾としてではなく、建築構造そのものを構成するムカルナスの定義を提示する。それは、将来の類型学的な研究に寄与しうる新しい類型の提示である。本論文の前半では、すでに定義されている属性に従いながらも、それらに共通する別の属性を抽出し、従来の装飾的ムカルナスとは異なる類型を「構造的ジェニュイン・ムカルナス・ドーム」として定義する。また、後半では、ムカルナスの本質的構成単位であるユニットに注目し、「構造的ジェニュイン・ムカルナス・ドーム」のユニットの分析を行う。
- 日本デザイン学会の論文
- 1997-03-31