コナダニ類の研究 II. : サトウダニの繁殖條件について
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概要
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1.サトウダニは各種の品質の市販砂糖のうち精製度のすぐれたグラニュー糖, 上白などには全く繁殖をみず, 水分, 窒素分, 灰分などの不純物含量の高い粗製品, 即ち, 三温, 中白, 黒砂糖などには至適温度(25〜28℃)及び至適湿度(ほゞ75%R.H.)においてはおびたゞしく繁殖し, 約1カ月後には1gにつき500疋以上時には900疋も見出されるほどの密度に達する.2.25℃の至適温度において三温砂糖における繁殖と湿度の関係を各種の過飽和塩類溶液による調湿装置により検討した結果, 純水(100%R.H.), KNO_3(ほゞ92%R.H.), KCl(ほゞ84%R.H.)の環境においては砂糖がすみやかに醗酵してダニの増殖をみず, NaCl(ほゞ75%R.H.)の環境ではおびたゞしい増殖がみられたが, K_2CO_3(ほゞ42%R.H.)の環境にあつては乾燥が甚しくダニは忽ち死滅し, 醗酵も起らず, 長く砂糖が良好な状態に保存されることを知つた.3.三温を至適湿度, 即ち過飽和食塩水で調湿した容器に入れ, 色々な段階の温度に調節した恒温器内に保存してサトウダニの繁殖状況をしらべた結果, 37℃では速に死滅するが, 28℃においては凡そ40日後に1gあたり約900疋の最高密度に達して以後次第に減少し, 25℃, 20℃, と温度が下るにつれてその増殖はおそく, 最高密度も低くなるが長期にわたり繁殖がつづき, 10℃以下ではほとんど増殖を認めないことが見出された.4.砂糖の品質, 湿度及び温度が好適な条件においてサトウダニが増殖を始めると, その発育期別の構成(幼虫, 前若虫, 後若虫, 成虫)が逐次変遷してゆき, 先ず幼虫が高い比率を占める"若い集団"の時期が現れるが, 繁殖が限度に達し, やがて総個体数が減少し始めると"集団の老化"が起つて幼虫が少く比較的後若虫の多い集団に変つてゆく.
- 1956-12-05
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