秋田縣下の恙虫及び恙虫病の研究
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概要
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1.秋田県下の恙虫病は1892年に初めて田中敬助により確認された.その後届出患者数は年間最高は1905年の251名であり, 1907年以後は減少して6年毎に年間平均は37名以下を示し, 1920年以後は1年に50名以上発生したことは稀である.1917〜1953年の37年間の患者総数は, 810名で新潟県下の約3分の1, 山形県下の約6倍である.2.届出の記録から本県下の恙虫病患者の致命率を算出すると1949年までは19.1%を示し, 山形(39.3%), 新潟(35.4%)に比して低いが, 七島熱や南方の恙虫病に比し一般に高い.1950年以後は抗生剤の使用が行われ, 死亡者はない.3.本県下の既知恙虫病罹患地帯は雄物川の中流にそう凡そ30カ町村にわたり, その洪水地帯に限られ, 全くTrombicula akamushiの分布と一致していると思われる.4.本県下の恙虫病患者の発生は大部分7月と8月に限られ, 旬別にみると8月上旬に最高で, 新潟県のそれよりも発生がおそく, 頂点がおくれ, 発生期間が短い傾向がある.5.本県下の患者を年齢別にしらべると, 20歳台の壮年者に最も罹患者の比率が高く, また女より男の方がはるかに多い.
- 1954-06-30
著者
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