冬季におけるハエの分散飛翔について
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概要
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1) 1959年2月3日〜3月16日に, 京都市右京区内の塵芥堆積所3カ所を中心として, ハエの分散範囲, 分散習性を推定するための予察的実験を行つた.2) 塵芥堆積所で捕集したハエをアニリン染料でマークして, 即日捕獲場所で放逐した.放逐作業は2〜10日間継続実施した.再捕獲実験は, 放逐地点より50, 100, 200, 400mの各距離にある円周上に32〜35個の金網トラップを配置して行い, 各塵芥堆積所毎に3〜4日間継続実施した。再捕獲期間中の10時における各実験現場の気温は2.3〜13.0℃であつた.3) 実験の結果, ケブカクロバエ, イエバエ, オオイエバエの3種はいずれも放逐地点から400mの距離で回収された.4) 放逐地点からの距離別回収率はいずれもケブカクロバエの方がイエバエを上廻り, 合計回収率はケブカクロバエ3.2%, イエバエ0.9%となつた.5) 捕獲ハエ数に対する着色バエ数の百分率は, ケブカクロバエ, イエバエの両種とも放逐地点より100m以内の地帯で高く, それより外側の地帯で低くなつたがその減り方はケブカクロバエの方が緩やかであつた.この事実からケブカクロバエはイエバエよりも, 速やかに放逐地点から拡散する傾向を持つと推察される.6) 分散にあたり, イエバエは麦畑, 草地, 笹原よりも住宅地域に集中する傾向がみられたが, ケブカクロバエではこの傾向は顕著でなかつた.
- 日本衛生動物学会の論文
- 1960-08-31
著者
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