韓国におけるハエ類の研究, IV : 韓国の農家で調査したハエ類の季節消長
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
1.1964年4月1日から12月31日まで, 韓国大邱市近郊にある小規模の畜産をかねる1農家を選び, ハエ類の季節消長を調査した。2.採集はハエトリリボンと韓国の濁酒, 酒かすと海産魚類内臓の腐肉を混合したものを誘引源としたガラス製トラップを用いて行った。リボンは2ヵ所に, トラップは3ヵ所に設置し, 毎朝7時に回収した。3.採集したハエ類は24種, 100,961個体(雄41,287,雌59,674)で, 優占種はMusca domestica (39.5%), Phaenicia sericata+P. cuprina (17.7), Boettcherisca peregrina (14.5)である。これらは全体の71.7%を占めた。4.採集場所および方法別にみると, Trap AではM. domestica (35.0%), B. peregrina (19.8), Aldrichina grahami (14.6)が多く, これら3種が全体の69.8%であった。Trap BではM. domesticaが98.0%であった。Trap CではP. sericata+P. cuprina (28.5%), B. peregrina (18.6), M. domestica (16.9)で, これらが全体の64.0%を占めた。Ribbon AではM. domestica (47.0%), Ophyra leucostoma (16.0)が全体の63.0%を占めた。Ribbon BではTrap Bと同じく98.0%がM. domesticaであった。5.採集方法別の季節消長では, Ribbon Aは畜舎という環境のため, 4月以前に発生がみられ, 7月と8月に減少し, 9月に最大発生ピークをみせて, しだいに減少した。Ribbon Bでは6,9,11月の3回に特異的な発生ピークがあった。Trap AとTrap Bは6月に最大発生ピークをもつことで共通しているが, 9月の発生ピークについては, Trap AではTrap Bに比べてあきらかでない。Trap Cでは7月に最大発生ピークがあり, 他のトラップに比べて8月における減少は顕著ではなかった。6.ハエ類の発生場所を地理的に区分し, 山地, 平地, 人家について発生源が知られた33種を整理した。
- 1977-12-15
著者
関連論文
- 韓国におけるハエ類の研究, IV : 韓国の農家で調査したハエ類の季節消長
- 11 旧北区のクロハナバエ属 (Polietes) について (Diptera, Muscidae)
- ニクバエ 3 種の生態, とくに発育と生殖能力に及ぼす温度の影響
- 21 センチニクバエ, シリアカニクバエ, ナミニクバエの生態について
- 韓国における Blaesoxipha litoralis Villenueve, 1911 の発見
- 11 韓国産 Blaesoxipha 属 (Saroophagidae) について
- 10 北日本の牧場で発生するイエバエ類
- 韓国で見出されたカスミニクバエの 1 新種の記載
- 韓国鬱陵島のハエ類について (英文)
- 韓国産ニクバエに関する知見(第 15 回大会講演要旨)
- わが国および韓国における新記録種 Sarcophaga pseudoscoparia kramer, 1911 について
- 韓国産ニクバエの 2 新種について
- 韓国, 大邱で見出されたニクバエの 1 新種について