分娩後に出現した脳血管攣縮による脳梗塞 : 子宮収縮薬ergometrineの関与について
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概要
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産科領域で分娩後の子宮の弛緩性出血を防止する目的で多用されるergonovine製剤は, 子宮の平滑筋を選択的に収縮させるとの根拠で使用されている.しかし今回, 33歳の患者は分娩後同薬剤を使用中, 一過性に後大脳動脈に脳血管攣縮が起こり, その領域の脳梗塞をきたした.発症は頭痛とともに右顔面を含む右半身の知覚障害と右同名性半盲の症状で入院治療を行ったが, これらの神経症状は残存した.この症例はRascolらが命名した"Postpartum cerebral angiopathy"と類似した病態と考えられ, 病因としては同薬剤が脳動脈壁の平滑筋に作用し, 血管攣縮を誘発したためと推測された.今後この薬剤使用について検討または使用後の十分な症状観察が望まれる.
- 日本脳神経外科コングレスの論文
- 1999-07-20
著者
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