頭蓋底部内頸動脈の置換術(<特集>脳動脈の再建術)
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概要
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海綿静脈洞部の内頸動脈を大伏在静脈で置換する(Fukushima Bypass)ことにより,海綿静脈洞部の病変により積極的に根治術を行うことができる.同部の腫瘍や動脈瘤,血管狭窄などを有する25例に頭蓋内バイパスを行ってきた.吻合部位により3種類に分類し,臨床例とその手術万法を紹介する.Fukushima Bypass I(C5-C3)通常の前側頭開頭術を行い,硬膜外に前方三角,前外側三角,lateral loop, Glasscock triangleを露出する.この方法でpetrous portionの内頸動脈(C5の近位部)は8〜12mm露出でき,同部位と大伏在静脈との吻合を行う.静脈を側頭葉下面を通し硬膜内に遠位部C3に吻合する.鼓膜張筋,耳管,蝸牛の保存が大切である.Fukushima Bypass II(high cervical-C5)上頸部から側頭下の病変に対して,この部の内頸動脈を犠牲にして大伏在静脈で置換する.小さな上頸部の切開と側頭下開頭で十分な視野を得ることができる.Fukushima Bypass III(high cervical-C3)海綿静脈洞からpetrous portionの内頸動脈までの広い病変に対して使用する吻合術である.側頭葉下に静脈を通し,内頸動脈上頸部とsiphon部とを吻合する.本法は1988年ころより,他の脳神経外科医により有用性と安全性は確認されており,頭蓋底部の腫瘍,血管性病変の根治的手術に広く応用されることを願う.
- 1992-02-20
著者
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