産学等連携研究の実態 : 地域における実態調査を通じて
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概要
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産学等の連携研究は幅広い知見を結集して技術革新を現実化することを目的とする。しかし, 全てのプロジェクトにおいて成果をあげうるわけではない。研究から商品化に至る過程において「死の谷がひそむ」といわれるように諸困難が待ち受ける。香川県における実態調査によると, 連携研究に始まって商品化に至る成功率は17%であった。研究過程での困難は, 基本的な技術課題を克服するにおいてよりも, コスト, 形状, デザイン, 耐久性, 使いやすさなど, 新商品が市場の要求に合致しうるかどうかにおいて強く意識されている。「発明よりも商品化において, より大きな努力が必要」と指摘されるゆえんである。「死の谷」を克服して成功に至るには, 参画する研究者が市場条件を第一に考えること, つまりマーケット・ニーズをつかみ, 製品イメージを明確に持ち, かつコスト意識を重視して取組むことが重要である。あわせて構成員の熱意や努力が持続する体制を組むことも欠かせない。「企業」の研究者の意識と「大学・研究所」の研究者のそれとを比較すると, 前者の方が市場条件を意識することの大切さをより強く認識している。また商品化で成功と考える判断基準についてよりきびしい考えを持っている(単に売り上げが計上されるだけではなく採算性をも考慮に入れる)。工場の海外移転が進む中で, もはや工業集積地からの工場誘致を期しがたい地方において, 地域活性化を図るには, 連携研究などによって産業技術を革新し, 内発的に新商品や新サービスを生み出すよりない。連携研究の立ち上げには公的助成が大きな役割を果たしているのが実情で, 地域活性化の実をあげるには, 連携研究に対する助成予算を拡大することが有効である。そのためにも連携研究の成功率を高めなければならない。
- 2005-03-31
著者
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