真正紅藻類の生活史とその進化
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概要
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真正紅藻類 (鋼) の生活史の様式を9型に分類し,それらの生活史型の進化の過程を考察した. I 型 (先祖型) .F_<ELDMANN> (1952) によって仮定されたもの.配偶体 (n), 果胞子体 (2n) および四分胞子体 (2n) がいずれも独立して,同形同大のもの (図1a) . II型 (Polysiphonia flexicaulis 型).果胞子体 (2n) が配偶体 (n) に寄生し,配偶体と四分胞子体 (2n) が独立して,同形同大のもの (図1b).III 型 (異形世代型).果胞子体 (2n) が配偶体 (n) に寄生し,四分胞子体 (2n) が配偶体に比して縮小し,その形態も違うもの.四分胞子体の形態によって3亜型に分類した.IIIa 型 (Asparagopsis armata 型) (図2a),IIIb 型 (Acrosymphyton purpuriferum 型) (図2b),IIIc 型 (Gloiosiphonia capillaris 型) (図2c),IV 型 (直接発生型),果胞子体 (2n) が配偶体 (n) に寄生し,果胞子が発芽して始原配偶体を経て直接配偶体になる.始原配偶体の形態によって2亜型に分類した.IVa 型 (Lemanea mamillosa 型) (図3a),IVb 型 (Ptilonia okadai 型) (図3b).V 型 (Liagora tetrasporifera 型).配偶体 (n) 上に四分胞子体 (2n?) をもつもの (図4a).VI 型 (Rhodochorton purpureum 型).配偶体 (n) 上に造胞系が発達して四分胞子体 (2n) になり,そこで,仮根を出して生長するもの (図4b).VII 型 (Hildenbrandia prototypus 型).四分胞子体 (2n) 期のみをくり返すもの (図5a).VIII 型 (Gigartina papillata 型).配偶体 (n) に未受精の果胞子体 (n?) をもち,その果胞子 (n?) が発芽して配偶体になるもの (図5b).IX 型 (Acrochaetium bonnemaisonii 型).配偶体 (雌?) が単胞子のみで生殖をくり返すもの (図5c).現存の8生活史型は I 型 (先祖型) から進化派生したものと考えた.先祖型から II 型が生じ,それより III 型が現われた.III 型から次のの2コースの進化が起った.1) III 型→IV 型→VIII 型→IX 型コース.2) III 型→V型→VI 型→VII 型コース.(図6).数属および数種には,その属内および種内に2生活史型がみられる.
- 日本植物分類学会の論文
- 1977-04-30