東亜羊歯植物考察13
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概要
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157. キクモバホラゴケの学名はTrichomanes Bauerianum ENDL. でなくてTrichomanes apiifolium Pr.である.これは馬来群島からポリネシヤに竟って分布している美しいホラゴケ属の一種で,台湾では近年発見せられたものである.私は台東庁下の知本越道路に沿う見晴と深山との間で数株採集した.158. 満州のイハカゲワラビDryopteris laeta (KOM.) C. CHR. は朝鮮の北部及び金剛山にもある.又その変種コイハカゲワラビD. laeta C. CHR. var. oblongifrons KITAGAWAも北鮮にある.金剛山のものはカウライシダAthyrium triangulare NAKAIと命名せられているが別種ではなく,又決してメシダ属のものでもない.イハカゲワラビの一番古い学名はAspidium oxyodon FRANCH. である.これをDryopterisに移したD. oxyodon KITAGAWAは,Polypodium oxyodon BAK. をDryopteris に移したD. oxyodus C. CHR. にに妨げられるとも又妨げられぬとも考えられる.だから命名規約はさておき,ここでは問題の起こりようのないDryopteris laeta(KOM.) C. CHR. を学名に用いた.159. ヒロハホシダ(新称)Dryopteris ensifera TAGAWAは台湾南部の高土沸や牡丹杜付近にあるホシダの類.香港のD. latipinna O. KTZE. に似ているが,葉柄や中軸にはやや密に短毛があり,羽片は長くて両面共に有毛,細脈は5乃至10対あって数が多いから別種である.又ホシダ1.) sophoroides O. KTZE. に比較するに,葉身は小さく,倒卯形で長さ10乃至17糎,幅10乃至17糎,幅10乃至20糎,両面共に毛多く,羽片は4乃至7対,頂羽片は長くて10乃至15糎,包膜には密に毛がある.160. キンマウワラビHypodematium crenatum (FORSK.) KUHN はまだ朝鮮では知られていなかったが,昨年張享斗氏は全羅南道の同福赤壁で,又朴萬圭史は同じく全羅南道の白羊山で採集せられた.161. シノブカグマRumohra mutica (FR. et SAV. ) CHING が樺太中知床半島の重蔵山で発見せられた.菅原重蔵氏の採集.それで本種の分布の北限は樺太の南端,南限は九州の屋久島ということになる.162. オニイノデ(新称)Polystichum regens TAGAWAはヒメカナワラビP. Tsus-Simense J. SM. に似ているが,葉柄や中軸の鱗片は栗殻色で幅廣く,羽片の下半部は羽状複生,上半部は羽状深裂,小羽片はやや沿着しているから羽片の中軸には狭翼があり,〓堆はややくぼんでいる.田代善太郎氏が肥後國山野村龍頭瀧付近で採集せられたもの.163. 日本ではヘツカシダの学名にLeptochilius cirens C. CHR. が一般に用いられているが,これはとんでもない誤であって,Bolbitis Quoyanum (GAUD. )CHINGがよいと思う.亜細亜の熱帯には広く分布しているもので,日本では九州の南端(薩摩国赤水,甑島,大隅国小根占,岸良,竹浦,種子島,屋久島),琉球,台湾にある.
- 1937-05-30
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