メギ科の花の比較解剖及び分類体系 : II.分類学的考察
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概要
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メギ科は,生殖器官,栄養器官のいくつかの形質によって特徴づけられる.中でも雌蕊の構造は特に重要である.メギ科の雌蕊は円筒形,単一で花床に頂生し,子房は1室,縫線がなく,基生型および側膜型の胎座をもち,胎座は膨らむ傾向がある.維管束走向について言うと,基本的には腹管束は(1-)2-3(-4)本,背管束は1本,胚珠管束は腹管束及び胎座域に入る他の維管束より分出され,子房壁の脈系は2叉分枝状となる.このような雌蕊の構造は近縁のアケビ科,ツヅラフジ科,サルゲントドクサ科,キンポウゲ科の離生心皮からなる雌蕊の構造とは異なったものである.メギ科は2つの亜科,ナンテン亜科Nandinoideaeとメギ亜科Berberidoideaeに分けることができる.ナンテン亜科はNandina THUNB.のみが含み,メギ亜科はその他すべての属を含む.この2つの亜科は花被の形態で明瞭に区別される.がく片と花弁は外形,維管束走向,発達様式においてナンテン亜科では連続的で明瞭には区別されないが,メギ亜科でははっきりと区別される.花被以外にもNandinaは,胚珠,花粉,種皮,材,染色体について特異な性質を示す.雌蕊の構造の点では,メギ科に共通する基本的な構造を有しているが,側膜型の胎座で胚珠が2〜3に減数していること,子房壁が肥厚していること,赤色で球形の液果が熟すこと等,メギ科の中では独自の進化傾向を示している.
- 1985-06-29