小笠原産ラン科植物の1新種(2)
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概要
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今回報告するラン科の新種は1980〜1982年にかけて、東京都環境保全局の依頼で行われた、"小笠原自然環境現況調査"の調査過程で母島で発見されたものであり、この属としては母島で最初の報告である。1980年に既に別の箇所で数株発見しているが、花がなかったので、同報告書(2)、1980及び(3)1981ではCalanthe sp.として扱ったが、その後母島の住人の星典氏の御好意で別箇所から採取された花のある乾燥標本と花茎の液浸標本と写真を入手し、現地での観察と合わせて記載をとることが出来た。この種は長い点でCalanthe属の中でもSect. Eucalanthe LINDL.に属し、その中でも、花茎の出方、花が花茎の上方に集まる花序の様子、花色が白く、唇弁が大きく3裂する形態がツルランC.triplicata AMESに最も近いが、唇弁の形と大きさ、5花被片の開く角度、唇弁基部の突起の色と形などがツルランと異り、琉球列島その他から既に報告されている他のツルラングループとも異るので、本種を小笠原母島に固有の1新種と結論し、発見者で材料提供者の星典氏の名にちなみ、Calanthe hoshii、和名をホシツルランとする。
- 1983-11-29