ストロンによって栄養繁殖する植物, スズシロソウ(アブラナ科)のクローン構造・枯死率・繁殖率
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概要
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ストロンによって栄養繁殖する植物であるスズシロソウArabis flagellosa Miq.(アブラナ科)のクローン構造・枯死率・繁殖率を, 国内分布域の北端近くに位置する2集団(貴船と藤原岳)で調査した。双方の集団とも, 新しく定着する個体の多くはストロンの末端に付く栄養繁殖体(ラミート)であった。調査された2年間種子由来個体はすべて途中で枯死した。娘ラミートは母個体に比べ致死率が非常に高いが, いったん定着すれば, 栄養繁殖を行い, また次シーズンに開花をする潜在能力を持っている。計測された形質のほとんどが2集団間で分化しており, 貴船の個体は, 藤原岳の個体と比べてより長いストロンをより少数伸ばす傾向があった。開花率はもっとも集団間の違いが大きい形質であり, 貴船では1989年に1個体, 1990年に4個体が開花しただけなのに対し, 藤原岳では両方の年で40%を超す個体が有性繁殖を行った。
- 1998-02-28