アマドコロ属(ユリ科)の新種ハガクレナルコユリ
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概要
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筆者は,京都盆地低所において,苞を備えた独特の花序をもつナルコユリ類似の植物を発見し,詳細な形態と核型の調査を行い,KYO及びTI標本との比較研究を行った。さらに,この植物の分類学的位置づけと帰属を決定するために,他の日本産アマドコロ属植物,とりわけ,ブラクテアータ列植物との詳細な比較研究を行った。その結果,この植物をアマドコロ属.アマドコロ節.ブラクテアータ列の新種(Polygonatum kiotense N. Yonez.,ハガクレナルコユリ)と認識するに至った。本種の体細胞染色体は,2n=18(x=9)で,各相同染色体は対をなす。本種の花序は茎にそって斜上し,分岐した花柄に広皮針形の苞を互生する。本種の葯は分離し,葯裂片が長く,花柱が短い等の特徴をもつ。本種の根茎は変形した球状の節とくびれた短い節間からなる。和名は,花が茎葉や花序の苞に隠れて目立たないことによる(「葉隠鳴子百合」)。
- 1998-07-28