A-12 Spring-8におけるプロジェクトマネージメント
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概要
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大型放射光施設(以下SPring-8)は、約7年の歳月をかけて日本原子力研究所(原研)と理化学研究所(理研)が共同で建設した。SPring-8の建設はこれまでの大型研究施設建設では例の無い、組織も体制も異なる2研究所が「共同チーム」を結成して装置建設を進めた共同プロジェクトであった。共同チームの最大の特徴は、いわゆる法人格を持たず、原研、理研の研究協力協定の基で原案の作成と調整を行う「場」として存在しているということであり、建設工事などにおけるジョイントベンチャー(JV)等と比較して不安定で難しい形態であった。そしてこの共同チームという方式は、研究開発要素の強いプロジェクトであるという特徴と、両研究所がこれまでのやり方を踏襲してそれぞれが建設分担範囲に責任を持ち、またライン業務としてそれを確実に実施することを信頼して、マネージメントに自由度を持たせる方式でもあった。結果的に、この共同チーム方式がSPring-8の完成を約1年早め、前例のない共同プロジェクトを成功に導いた大きな要因であった。その共同チームを中心にして実施したSpring-8のプロジェクトマネージメントを考察し、今後の大規模、あるいは共同プロジェクトの参考としたい。
- プロジェクトマネジメント学会の論文
- 2000-03-27