商法改正とコーポレート・ガバナンス
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概要
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商法改正によって新たに導入された委員会等設置会社には企業統治の大きな改善を期待することができない。しかも、これまでのところ委員会等設置会社への移行を予定している企業はこれまできわめてわずかである。また、株主代表訴訟はこれまで経営者に対して高い規律づけ効果を発揮してきたが、商法改正により経営者の賠償責任が大きく軽減される一方で、監査役の機能強化が図られた。しかし、これまで著しい形骸化が指摘されてきた監査役の機能強化がどれだけ有効であるかは疑わしい。このように、商法改正による企業統治の改善はきわめて限定的であるのに対し、社外取締役の導入や執行役員制への移行によって自発的に企業統治改革に取り組む企業は相当数に達している。また内外の機関投資家の企業統治活動は年々厳しさを増す一方で、これまで日本の経営者の地位を支えてきた株式相互所有が急速に解消しつつある。日本の企業統治改革は法の改正よりも、企業内外の企業統治構造の変化によって促進されると考えられる。
- 日本経営教育学会の論文
- 2003-10-24
著者
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