タイ国のサゴヤシ(Metroxylon spp.)のアイソザイム変異について
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
一般に形態的に分類されているサゴヤシは分類に訂正の必要があると指摘されてきた。今後品種の検討, 分類の確定, 育種等を考えると, 生化学的, 分子生物学的あるいは交雑等を加味した変異の研究が必要になると考えられる。タイのサゴヤシは栽培型が知られておらず, 形態学的指標からM.sagus ROTBOLLと分類されている。今後, 分類学的位置の確定, 栽培型の確立, 他国のサゴヤシとの類縁関係の特定等を考えると, 変異の研究が必要と考えられた。そこで, 今回, タイのサゴヤシの生化学的な変異をザイモグラムの面から検討した。タイ南部の15のサゴヤシ集団から合計90検体を収集し, 5種のアイソザイム分析に供した。濃いバンドをもとにパターンを比較したところ, 生育地別には傾向が見られなかった。そこで90検体を一括して検討した。パーオキシダーゼとエステラーゼのゲル電気泳動のザイモグラムのパターンは各1種であった。酸性フォスファターゼのゲル電気泳動のザイモグラムパターンはタイプ1と2の2種で, 87%が前者に属していた。ソルビトールデヒドロゲナーゼのゲル電気泳動のザイモグラムパターンはタイプ1から3の3種で, 95%がタイプ1に属していた。エステラーゼの等電点電気泳動のザイモグラムパターンは1種であった。また, 全検体の80%がゲル電気泳動のパーオキシダーゼタイプ1,エステラーゼタイプ1,酸性フォスファターゼタイプ1,ソルビトールデヒドロゲナーゼタイプ1および等電点電気泳動のエステラーゼタイプ1のザイモグラムパターンを示した。これらの結果からこれらのサゴヤシのアイソザイムの変異は小さく, 形質が似ていること, およびこれらが少ない個体から増殖した可能性が示唆された。この示唆は古来サゴヤシはサッカーによる増殖法が一般的であることと考えあわせると興味深い。サゴヤシを含む10種のヤシの上記5種のザイモグラムを比較すると, サゴヤシが他のヤシと区分可能と考えられた。同時に, 任意に選定した10種のヤシは相互に区分が可能と考えられた。
- 日本熱帯農業学会の論文
- 1995-12-01
著者
関連論文
- イネ種子からのマルチブルシュート誘導条件の検討(植物-細胞培養-)
- カンキツの組織培養苗の環境保全への適用(第1報) : スンタラ (Citrus reticulata BLANCO) の試験管内大量迅速育苗と生産コストシミュレーションによる生産方式の改善方向の推定
- 日本ニワトコ樹皮に含まれるリボゾーム不活化タンパク質の精製とその性質について : 生体高分子・脂質
- 植物培養細胞系によるジベレリンの代謝研究
- ソバ(Fagopyrum esculentum Moench)の試験管内交雑育種の可能性
- サゴヤシの試験管内育種と育苗 : 第1報 胚培養条件の検討とマルチプルシュート誘導について
- 2C-7 蔗糖代謝についての研究 1 : Calles cellに於けるsugar transformation
- ツノアイアシ水抽出成分の植物生理活性
- 62 ツノアイアシ水抽出成分の植物生理活性
- 105 土壌に存在する化学物質の殺草作用発現機構 : (4) ツノアイアシ(Rottboellia exaltata)の他感作用の検索
- 11. ソバの試験管内交雑育種について : 試験管内生活環境完結条件の検討
- 植物組織培養の生産コストシミュレーションによる技術改良の方向付け : 山菜「シオデ」を例に
- 植物組織培養の地域農業振興への適用 : (第2報)生産コストのシミュレーションによる技術改良の方向付け
- 組織培養の地域農業振興への適用 : シオデ多芽体の誘導及び増殖と不定根形成における培養条件の検討
- トウモロコシ種子からの大量迅速育苗について(短報)〔英文〕
- イネの大量迅速育苗について〔英文〕
- サゴ澱粉の利用開発 (サゴヤシの開発とその生産物の利用)
- カキおよびダイズカルスの細胞壁結合型インベルタ-ゼ
- Cell Wall-bound Invertase of Morning-glory Callus
- 朝顔カルス細胞の培養に伴う糖含量およびショ糖代謝関連酵素活性の消長〔アサガオカルス細胞に於けるショ糖代謝-3-〕
- アルキルβ-フルクトフラノサイド調製の改良法
- 3B13 種子成熟発芽にともなう庶糖合成酵素庶糖燐酸合成酵素の活性変動について
- A22 シュクロースの生合成経路について (1) : シュクロースおよびシュクロースりん酸合成酵素の分布と性貭について
- 4 アンチオーキシン、6-methoxy-2-benzoxazolinoneのオーキシン結合蛋白質に対する効果
- 71 生長抑制物質ラファヌサニンのオーキシンによって誘導されるマイクロチューブル配向変化に及ぼす影響
- 10 植物機能物質ラファヌサニンの生長抑制機構 : 1.植物ホルモンやマイクロチューブルの配向性に及ぼす影響
- 34. イネおよびキュウリにおけるδ-アミノレブリン酸の吸収, 移行
- 33. δ-アミノレブリン酸のキュウリに対する生育阻害作用
- (236) 低分子量GTP結合タンパク質を恒常的に発現しているタバコ中での傷害によるサリチル酸異常生成とウイルス抵抗性獲得 (日本植物病理学会大会)
- 77. 感受性を異にするイネ品種によるDPX-F5384の吸収と代謝
- 12. ロシアンオリーブの生殖器官を用いた試験管内大量迅速育苗法
- 耐塩性イネの作出/誘導に関する研究 III.段階的塩淘汰圧選抜により確立された試験管内耐塩性個体の圃場耐塩性について
- 塩害地の地域振興に対する植物組織培養技術の適用 - クコ(Lycium chinense Mill)の試験管内大量迅速育苗 -
- 植物の試験管内交雑育種.1.ソバ生殖器官からの試験管内花芽誘導について
- カンキツの組織培養苗の環境保全への適用(第2報) : 生産費シミュレーションによるスンタラ(Citrus reculata BLANCO)の試験管内大量迅速育苗法の適性化
- ソバ (Fagopyrum esculentum Moench.) の試験管内大量迅速育苗
- タイのサゴヤシ(Metroxylon spp.)のRAPDレベルの変異について
- クキタチナの試験管内大量迅速育苗の簡易化と生産費シミュレーションによる技術改良の方向について
- タイ国のサゴヤシ(Metroxylon spp.)のアイソザイム変異について
- クキタチナ (Brassica campestris) の試験管内大量迅速育苗と生産費シミュレーションによる生産法の改良の方向付け
- イネショ糖燐酸合成酵素のcDNAクローニング
- サゴヤシの苗木生産と増殖 (澱粉資源植物サゴヤシの現状と将来性)
- 地域農業振興への組織培養の利用について : 3.生産費コスト解析の例
- 地域農業振興への組織培養の利用について : 2.ハカラシナの試験管内大量迅速育苗系の簡易化について
- イネ・タイヌビエ間におけるグルタチオン濃度, グルタチオンS-トランスフェラーゼ活性およびプレチラクロールとの抱合代謝の差異
- 薬害軽減剤フェンクロリムを基質とするイネおよびタイヌビエのグルタチオンS-トランスフェラーゼの性質
- 38 アオウキクサの抗酸化系とポルフィリン蓄積に対するジフェニルエーテル系除草剤の影響
- 51 シコクビエのプロパニル抵抗性機構(III) プロパニルの光合成阻害からの回復
- 37 オキシフルオルフェンの各種植物に対する過酸化傷害とポルフィリンの蓄積
- 61 土壌に存在する化学物質の殺草作用発現機構 : (3) Mefenacetの土壌水中濃度と殺草活性および土壌吸着との関係
- ミズガヤツリの塊茎形成およびRNA生合成に対するNaproanilideの作用
- 14 イネ幼苗における数種除草剤の吸収・移行および代謝に対するジメピペレートの混合効果
- 42 各種除草剤の水稲生育抑制作用のジメピペレート(MY-93)による軽減効果
- 4 アジムスルフロン(DPX-A8947)の水稲-ミズガヤツリ間選択作用性及びダイムロンあるいはジメピパレートとの混用による水稲薬害軽減効果
- トウモロコシ種子からのマルチブルシュート誘導を経由する大量迅速育苗について(植物-細胞培養-)
- アサガオのラクトース耐性および非耐性株における生理的差異
- トウモロコシ種子からの大量迅速育苗について
- 52 オルソベンカーブのコムギ・メヒシバ間選択作用機構
- 41 イネミクロソーム画分における生体異物の酸化反応と活性の誘導
- 地域農業振興への組織培養の利用について : 1.ハカラシナの実験室的手法による試験管内大量迅速育苗について
- ラッカセイ種子を用いた試験管内大量迅速育苗
- 植物の大量迅速育種育苗 (植物細胞バイオテクノロジ--2-)
- 36. シメトリンとジメタメトリンの選択作用機構の比較研究 : II イネおよびタイヌビエによる吸収, 移行, 代謝
- 35. シメトリンとジメタメトリンの選択作用機構の比較研究 : I イネおよびタイヌビエの生育に対する作用と光合成阻害
- 受賞者等の研究の概要紹介 : 除草剤は植物を選り好みする (本学研究の進展)
- 除草剤の選択作用に関する生理化学的研究
- 44 イネ品種によるシメトリンの代謝と光合成阻害作用に対する温度の影響
- 43 イネ品種によるシメトリンの吸収・移行に対する温度の影響
- アサガオカルス細胞培養系における炭素源代謝と数種グリコシダーゼ活性について
- 生殖器官からのマルチプルシュート形成を経由する大量迅速育苗について