ナイジェリア・イコロドゥ地域における土壌管理技術の採用と農業者の特性との関係
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概要
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本研究は, ナイジェリア ラゴス州のイコロドゥ 自治区における11の土壌管理技術の採用状況と採用に及ぼす要因について検討したものである。サンプルは, イコロドゥ 自治区の8つの村から160人の農業者を社会の様々な階層別に無作為的抽出を行い, 質問票によるアンケート調査によりデータを得た。その結果, 土壌管理技術に関する農業者の知識の程度と技術の採用とは正の相関にあり, 技術革新においても最も大きな影響を及ぼすことが明らかになった。なお, 普及員との接触は表4に示される11種の土壌管理技術の採用に有意な影響を及ぼすとおもわれたが, この場合, 高い相関は認められなかった。この驚くべき結果の理由は, 普及員が作物生産の側面にのみ集中して土壌管理技術の詳細の情報普及を軽視したからである。その他, 見出だされた主な事項を挙げれば, 以下の通りである。(1)土壌保全にとって重要な有機質肥料の施肥技術については, 採用率が0.51%であり, 採用度は最も低かった。(2)行動半径の程度と技術に関する知識との間には正の相関が認められた。(3)リーダーシップと技術に関する知識の間には有意な正の相関が認められた。技術革新した農業者の平均値は3.1(31%)であった。農業者の平均年齢は38歳で, 彼等の教育水準は低く, 経営耕地面積の平均は2.4haであった。本研究は, イコロドゥ 村における技術革新の採用状況と土壌の肥沃度は, 農業普及の在り方と新しい土壌管理技術を受容する農業者の特徴の程度に依存していると結論することができる。以上の結果から, イコロドゥ 自治区においては普及員はテレビやラジオを通じて, 土壌管理技術に関する知識や情報を農業者に伝えると共に, 圃場において実際的な訓練を行うことが望ましいと考えられる。
- 日本熱帯農業学会の論文
- 1995-12-01