熱帯半乾燥地における天水農業の改良技術 : 第1報 インド, デカン高原バーティソル地域における改良営農技術の導入試験
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概要
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グルバルガ県はインド, カルナタカ州のデカン高原に位置しバーティソル土からなる熱帯半乾燥地域にある.バーティソルは粘土を多く含み, 水の得られる雨期に圃場管理がやりにくいという営農にとっては問題土壌である.そのためここでの伝統的な農業は乾期のソルガムと1年通して栽培されるキマメ栽培が主流となっている.しかしこれだけでは小規模農家にとって十分な収入とはいえない.この伝統的農業に改良可能な技術を導入して増収をもたらすためには, 40%しかない雨期の作付けを増やすこと及び混作等による面積当たりの増収を図ることで可能となる.そこで同県ハルハタバード村で農家の畑を使って低コストの改良農法である改良バーテイソル営農技術(IVMT)の導入試験を行った.試験農家圃場は同一集水系(ウオータシェド)として降水の排水と土壌侵食を考慮して100cmベッドの広幅畦立てを圃場内に施し, 改良作付け体系を農家に導入した.そしてこの効果をしらべるため周辺の農家から同様な作付けをしている伝統的農法を調査し, IVMTとの生産面, 技術面を比較した.これによると乾期ソルガムの前作に緑豆の栽培を導入した2毛作の場合132%の増収益があった.また混作としてキマメにゴマを導入した場合215%の増収益があった.さらにキマメの単作もIVMT農法で栽培した場合, 伝統的農法より239%の増収益があり, 経済的に一番有利であった.即ちIVMTが作付け体系による増収効果と栽培技術の向上をもたらすことが分かる.ただしIVMTは個々の技術が総合的にまとめられパッケージされたものであるために, 技術のどの部分が効果を発揮したかを知ることは作物の種類, 年の気候条件によっても異なり難しい.またIVMTの中心となっている集水系単位水管理と広幅畝立て法はトロピカルターの使用により初期投資として182ルピー/ha必要であることが分かり, これはキマメの栽培純利益の4.3%, ソルガムの7.7%に過ぎず, 容易に農民が受け入れ得る経費であることが分かった.
- 1994-06-01
著者
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