ココナツコイアを用いた省エネルギー型養液栽培装置によるキュウリの栽培試験
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概要
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電力を必要としない養液栽培の可能性を考え, 熱帯地域で容易に入手可能な有機質繊維ココナツコイアを培地としてキュウリを養液栽培し, ロックウールと比較, 検討した.この装置は非循環型養液栽培装置で, 野菜栽培など発展途上国で容易に利用できるものである.ココナツコイア, ロックウール両培地ともにキュウリは旺盛に生育した.キュウリ収量はココナツコイア培地区で16%高かった.また, 可販果率も高くなる傾向を示した.生育期間中に各培地から抽出した養液の分析結果では, 両培地ともに硝酸態窒素, カリウム, マグネシウム, リンの集積がそれぞれ確認できた.ココナツコイア培地からの養液はロックウール培地からのそれに対してカリ濃度で2倍, リン酸濃度では8倍を示した.更にこれを供給培養液の成分濃度と比較するとココナツコイア培地, ロックウール培地ともに成分の集積がみられた.特にココナツコイア培地における養液のECは供給養液の2.3倍を示し, カリウムの濃度は4倍に, リンでは約17倍にまで上昇していた.一方, カルシウムでは濃度がおよそ5分の1に減少していた.また, 使用前に比べ培地に保持される交換性塩基量がロックウールで増加していたのに対して, ココナツコイアではカルシウム濃度が半減以下であった.ココナツコイアでの養液中また交換性カルシウムの減少からカルシウムが培地に固定されることが示唆された.このように各成分濃度の著しい違いにも関わらず葉中の無機成分含量にはほとんど差が認められなかった.
- 日本熱帯農業学会の論文
- 2005-06-01
著者
-
山下 忠明
国際協力機構筑波国際センター
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Coetzee Vinal
南アフリカ共和国北部ケープ州農業保全部
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浦山 久
日本国際協力センター筑波支所
-
MATTHEWS Lorato
南アフリカ共和国ムプマランガ州農業環境保全部
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