東北タイの大型ミミズ類の糞塊形成が土壌に及ぼす影響
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
東北タイの大型ミミズ類は雨季にその排泄物を地表面に塔状に盛り上げ, 糞塊(cast)を築く.大型ミミズ類のこうした活動が土壌に及ぼす影響を検討した.糞塊が多数認められる地点では, 層厚で暗色味が強く, 土壌構造の発達程度が高いA層が形成されていた.糞塊はA層中より, 全炭素, 全窒素, 有効態リン, 交換性カルシウム, 交換性マグネシウム, 交換性カリウムに富み, pH, CEC, CEC/clay比が比較的高かった.糞塊が存在する地点のA層では塚の存在しない地点のA層よりこれらの化学特性値が高かった.大型ミミズ類は土壌表層部の無機質粒子と植物遺体を摂食し, 消化管内で両者が混合したものを地表面に排出する.糞塊が多数存在する地点のA層で見い出された形態発達及び化学性の向上はこうした活動の結果によるものと考えられた.大型ミミズ類は通気性が良く, 湿潤な土壌条件を好むため, 生息の場は限られるが, その働きは東北タイの土壌生成並びに土壌肥沃度の面で重要であることが明らかとなった.
- 1993-09-01
著者
-
ヌーチャン ナリス
タイ国農業省農地開発局第五地域事務所
-
三浦 憲蔵
熱帯農業研究センター
-
サブハサラム タルサック
タイ国農業省農地開発局第五地域事務所
-
タビンスング ヌクーン
タイ国農業省農地開発局第五地域事務所