タイおよびベトナムの水田におけるスクミリンゴガイの分布とその被害実態
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概要
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タイの東部と東北部, ベトナムのハノイ, ダナン, カントーの各都市周辺にて, スクミリンゴガイについて20mm以上の殼長を持つ成貝及び卵塊の分布と密度の調査を行った.また調査した地域の人々に対して, スクミリンゴガイに関する質問を行った.尋ねた項目は5つである.1.初めてスクミリンゴガイが農地に現れたのはいつか, 2.どの程度の密度でスクミリンゴガイがいるか, 3.どの程度の被害が出ているか, 4.スクミリンゴガイに対して, どのような対策をとっているか, 5.スクミリンゴガイを何らかの形で利用しているか.分布密度と聞き取り調査の結果, この貝はタイの東部と東北部の水田においては一般に低密度(通常1.0/m^2以下)で分布していたが, ベトナムの水田ではどこでも高密度で, 水田によっては10/m^2を超えて分布していたことが明らかとなった.推定した貝密度と聞き取り調査による被害実態と組み合わせると, 貝密度が1.0/m^2以上になると被害が深刻化することが明らかとなった.従って, この密度は, 被害許容密度の指標として用いることが出来ることが示唆された.タイの調査地域では一般に被害は少なかったが, ベトナムではどこでもその被害が深刻であった.この貝の防除方法で最もよく行われていたのは人間の手による拾い上げで, この方法は, ことにべトナムでは一定の成果を上げていた.貝の利用はどちらの国でもむしろ稀で, その味の評判はよくなかった.このため, 貝の利用による防除は期待出来ない.
- 2001-06-01
著者
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