パプアニューギニア, セピック地域における農業開発実施上の文化的・社会的課題
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概要
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パプアニューギニア, セピック地域の農業に関して、過去いくつがの開発案が提示されてきたが, 最近, サゴヤシを生業の中心とする低湿地に対する総合的な農業開発の計画案が提示された.これは, サゴヤシが生育している土地を棚田化(水田化)し, その立体的土地利用をはかる, というものである.このような農業開発を実施する際には多くの課題が指摘できるが, 本論は, そのような課題の中で, 文化的・社会的要因に関わる課題を考察した.1993年8月の約1カ月間, 現地住民に対する聞き込みを中心に調査を行った結果, 以下のような課題があることが明らかになった.(1)「開発」, 「発展」は常に外からやってくると認識する傾向があるために, 長期間にわたって現地住民だけで計画に関わる作業を実行するのは困難であること.(2)農作物は, 単なる作物や食料としてだけではなく, 社会の中で別の性格を持っている場合が多いため, 開発計画に際して計画が与える影響を考慮する必要があること.(3)開発側の人間が地域共同体と接触することにより, その地域共同体の社会関係, 特にリーダーシップの関係に影響を与える可能性がある.このため, 活動の際に交渉相手を選択・決定する際には慎重に対処する必要がある.(4)農耕に関わる作業では, 男女の作業が厳密に区分され, 互いの作業を異性の人物が代行する場合が不可能な場合が多い.(5)土地の登記が書類で明確に示されてなく, また土地の所有の概念・利用方法が近代的な概念・方法と大きく異なっているために, 土地利用形態の変更が困難なこと.(6)現金が貯蓄されない傾向があるために現地住民の資本の蓄積が困難なこと.
- 日本熱帯農業学会の論文
- 1997-03-01
著者
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