4.送出・運行技術(<特集>最近の放送技術)
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概要
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1.送出・運行技術の役割テレビ放送における送出・運行技術は, スタジオおよび中継などによる番組制作の技術と, 番組信号を放送電波に変換して送信する送信技術との間に位置し, その処理技術の基本は番組の切替えと送出にある.しかし, 近年のエレクトロニクス技術の進歩による放送機材の小型化, 高性能化あるいは画像処理技術の進展などに伴い番組形態が多様化し, 送出・運行技術における処理機能の内容は番組の切替・送出を核として拡大し, 複雑化している.現在のテレビ放送は, 毎日深夜まで休みなく続けられており, スタジオ制作や中継制作の番組, フィルムやVTRの番組, あるいはネット局制作の番組など, 各種の番組が送出されている.これらの番組の切替・送出に直接関連する主な処理機能としては, 一般に次の内容が含まれる.(図1参照)(a)番組内での補完的なスーパー加工処理(人名スーパー, スポーツ番組のスコア表示スーパー等)など(b)番組とCM, ステーションブレーク(SB)などとの切替え, および, 送信所, ネット局へのこれら放送信号の送出(C)中継素材, ネット受け素材などの番組制作用および送出用素材の入力と分配しかし, これらの処理は, 当初に比べ番組の多様化と共に複雑化しており, その主な要因を例示してみると次のとおりであろう.(1)民放におけるCMの放送枠は, 番組に対応した番組提供の枠, 番組と番組の間のSB枠, さらに番組とSBの間に挿入されるCM枠などと細分化されている.(2)ナイター中継など生中継番組における番組終了時刻の緊急の変更に対処するため, 階段編成と称する複数種の番組編成などの対応が必要になっている.(3)ENGシステムなどの導入により, フィルムや静止画(テロップ)素材が中心であったニュース番組は, ビデオ素材や生中継素材の多い番組制作になってきている.(4)番組の多様化と共にネットワーク関係が複雑化し, 放送中の番組と異なる番組のネット送出(ネット裏送出)や放送中の番組のネット局への時差送出が必要になっている.(5)音声多重放送の採用などによりネットワークの制御項目が増加している.2.サブシステムによる機能構成と自動化送出・運行のシステムは前記したように処理機能の内容が多様化し, 複雑化しているため, 概念的には番組の切替・送出を核としたいくつかのサブシステムで構成されている(図2参照).すなわち, 番組の送出・運行には番組の切替・送出を中心としたコンピュータ制御による自動運行制御システムが導入されており, システムの二重化などにより処理機能の信頼性の向上が図られている.さらに, 番組の事前パッケージ, CM素材の編集送出(CMバンク), ニュース番組の送出などのサブシステムがあり, コンピュータ制御による自動化が進められている.この他, 各番組に使用されるテロップ等の静止画素材に代わって, 電子的に静止画素材を作成してコンピュータによりその送出管理を行う電子画システム(大規模静止画システム)なども一部に導入されている.3.むすび以上, 送出・運行技術の役割とそのシステム構成の概要を記述したが, 本章4-2節以降では自動運行制御システム, 番組切替・送出スイッチャシステム, 番組素材送出機器およびCM編集送出システムについて述べる.なお, これらのシステムは, 各放送局の考え方や規模などにより様々なシステム構成が採用されているので, 具体例も含めて概説する.番組の事前パッケージは, 自動運行制御システムの制御機能の中で処理されるシステム例や, 独立した複数のシステムで処理される例などがあるが, 制御系およびスイッチャ系共, とくに技術的に特筆される独自な点はないので省略する.また, ニュース番組の送出システムは, 地方局では送出・運行のシステムの中に含まれる例が多いが, キー局などの大規模の放送局では, ほとんど独立したシステムで構成されており, 本特集では3章の中で述べられている.
- 社団法人映像情報メディア学会の論文
- 1987-01-20
著者
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