定在波励振による1波長ループ空中線とその組合わせ空中線
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概要
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周囲長が約1波長のループに電流が定在波的にのるように励振すると, ループをふくむ面と直角な方向へ直線偏波の電波を放射する.このループの指向性は, ループをふくむ面と直角な方向に最大値をもち, 偏波面(電界面内)ではダイポールの放射と同じように8字形であるが, これと直角な面内(磁界面内)ではダイポール空中線が一様な放射をするのに対し, このループは流れる電流素子の間に距離的な位相差があるため, この面内でも軸方向に最大値をもった指向性が得られる.このループの偏波性は理論上, 完全な直線偏波であるが, 実測によれば電界の直交成分の比は50〜80dBであることが確められた.このループの放射特性を利用して単指向性にし, さらに鋭いビームを得るため, ループを2段並べて励振し, さらに反射器1素子を加えた3素子のループ空中線について検討した.この空中線はループの励振の方法により並列, 直列の2種が考えられるが, 前者の方が指向性, インピーダンスともに周波数特性がよく, 前者は指向性の半値角の値が3dB変化することを許せば, ほぼ2倍あることがわかった.また電界, 磁界面内の指向性はほぼ等しく, その半値角は約85°である.入力インピーダンスはこのときほぼ96Ωの純抵抗である.また300Ωの給電線に整合するように作成した複合ループは, 定在波比2以下の周波数帯域がほぼ1.7倍であった.
- 社団法人映像情報メディア学会の論文
- 1963-05-01