Autocrine Motility Factorは転移腫瘍における診断・治療のターゲット分子となり得るか
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
転移は悪性腫瘍の最たる表現型であり, その適切な制御が治療成績向上や患者のQOL改善に貢献するであろうことは疑いがない. 転移は腫瘍と宿主との複雑な相互作用の結果成立する現象で, 細胞レベルでみると腫瘍による血管新生, 周辺宿主組織の破壊, 遠隔宿主組織への接着移動, 遠隔宿主組織での増殖といった一連のサイクルがあるかに思える. 実際ある種の腫瘍では転移先が決まっており, 転移マップも作成され治療に応用されている. この腫瘍と宿主との相互作用には多くの転移関連形質とともに様々な制御あるいは増強に関わる分子種が介在することが明らかにされている. この一部を増強又は阻害して腫瘍の転移増殖を分子レベルで抑制する試みもなされている. 本稿ではこのうち腫瘍細胞の移動に焦点を当て, それを刺激する因子の1つであるAutocrine Motility Factor(AMF)の性質ついて解説し, ついでその性質に基づいたAMFの転移腫瘍における診断治療への応用の可能性を考察したい.
- 公益社団法人日本薬学会の論文
- 2005-02-01