メバロン酸二リン酸脱炭酸酵素の諸性質,並びに正常血圧ラットと脳卒中易発症ラットとの比較
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
脳卒中の発症因子として第一義的に重要なのは高血圧である. しかし, 近年の疫学的調査の結果, コレステロール不足により脳卒中(中でも脳出血)を誘起することが明らかにされてきた. 脳卒中易発症ラット(SHRSP)は重篤な高血圧と脳卒中の発症を特徴とし, ヒトのこれらの疾患の研究に広く用いられている. SHRSPの血清コレステロールは, 正常血圧ラット(WKY)に比べ低下している. また, コレステロールの少ない餌を与えたSHRSPのグループは, コレステロールをある程度与えたグループより脳卒中の1つの原因である血管壁の平滑筋細胞壊死に陥りやすいことから, 血清コレステロール低下は脳卒中の1つの原因である可能性が示唆された. これらの原因を解明するために, コレステロールの吸収, 排泄, 合成に関する研究が行われた. その結果, 肝におけるコレステロール合成能力低下に起因していることが示された. さらに, コレステロール合成に関与する酵素活性をWKYとSHRSPで比較した結果, メバロン酸二リン酸脱炭酸酵素(MPD)の活性減少が細胞質画分中で明らかにされた(Fig.1).
- 2004-10-01