服薬補助ゼリーの開発
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概要
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内用薬,特に散剤は多くの疾患や老化に伴う嚥下機能の低下により,服薬が困難になることがある.さらに,高齢者では唾液分泌量が減少し,散剤が口中に拡がって不快感を生じた,入れ歯の隙間に顆粒が入り込んで痛いなどの理由により,小児では,薬剤特有の苦味によって服薬遵守不良が引き起こされることがある.また,内用薬の服用には,一般に水や白湯などが推奨されているが,嚥下機能低下者において流動性が高い液体は,「むせ返り」を起こし,誤嚥性肺炎を発症させる原因にもなり得ることが指摘されている.一方,くず湯,ヨーグルト,ゼリーなど適度に粘性がある食品は,嚥下機能低下者にも嚥下が容易であることが知られており,従来から介護の現場においては,これらの食品に薬剤を混和・練合して服薬し易くする工夫がなされてきた.また近年,バリアフリーを指向した様々なトロミ調整食品や嚥下補助ゼリーも市販され,食事や服薬の介助に利用されている.しかし,薬剤を混ぜる食品の成分や物性によって臨床的に問題を生ずることがある.ゼリー菓子は糖分が多く,そのため炭水化物が多い食品と同様にアセトアミノフェンの消化管吸収を遅延させることが知られている.また,ゼリー菓子は寒天を用いているものが多いため,かんだ拍子に粒になり,のどにひっかかる危険性がある.市販の水分補給ゼリーも嚥下機能低下者への有用性が定かでないものもあり,服薬補助剤として利用するには薬物の体内動態への影響や服用性の改善効果を評価しておく必要がある.今回我々は,内用薬,特に内用散剤の服用性を改善するために「服薬補助ゼリー」(以下,ゼリー)を開発し,嚥下機能低下者に対する有用性について検討した.本稿では,ゼリーに内用散剤を混和し,服用性の改善効果並びに服用後の体内動態への影響について得られた知見を報告する.
- 2003-08-01
著者
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