Candida albicansの宿主生体内増殖機構の解析と新規抗菌物質の開発
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
C.albicansは病原性真菌の一種で,日和見感染原因菌として知られている.C.albicansは血清やビオチンなどの存在下で酵母形から菌糸形に形態を変化させる特徴を持ち,菌糸形C.albicansは,酵母形と比較してより強い病原性を示す.C.albicansには,二形性,タンパク質分解酵素産生,脂質分解酵素産生などの特徴が知られており,これらの因子は生体組織への侵襲及び傷害に関与していると考えられている.しかし,生体内に侵入したC.albicansの生体内増殖機構については詳細な解析が行われておらず,特に,増殖必須因子である鉄の獲得機構に関しては不明な点が多い.鉄は細胞増殖必須因子の1つで,DNA合成,タンパク質発現などに関与しているが,C.albicansの場合においても,鉄の補給は増殖に不可欠である.血清中の鉄の大部分は,ホロ型トランスフェリンとして存在しているが,C.albicansはトランスフェリンに結合した鉄を利用する能力が欠けており,生体内増殖のための鉄源としては利用できない.最近,C.albicansがヘモグロビンを鉄源として利用できることが確認され,赤血球成分であるヘモグロビンが生体内増殖のための鉄源として利用されている可能性が示唆された.本稿では,C.albicansが鉄源として利用可能なヘモグロビンを得るための赤血球破壊機構とヘモグロビン取り込み機構の解析を行った.また,C.albicansに対する新規抗菌活性物質の開発を行ったので,その効果についても報告する.
- 2003-07-01
著者
関連論文
- 輸血用血液に混在する細菌検出方法の研究
- Photobacterium leiognathiルシフェラーゼ発現に及ぼすゲルコースの効果
- Candida albicansの宿主生体内増殖機構の解析と新規抗菌物質の開発
- 菌糸型及び酵母型Candida albicans死菌投与マウスに誘導される抗カンジタ因子の解析
- 酵母細胞壁多糖体投与マウスの免疫細胞分布の解析
- マンナンによるCandida albicansのプラスチック製培養プレート接着阻害効果
- pH変化によるCandida albicans形態変化シグナルの解析
- グルタチオンのメラニン合成阻害機構
- システインのCladosporium cladosporioides増殖抑制効果
- Candida albicansとクリスタルバイオレットの結合機構の解析
- Canadida albicans 培養上清の溶血因子の解析
- Candida属菌のヒト赤血球溶血活性
- Candida albicans溶血因子の構造解析
- 低分子キチンの Apo-transferrin 誘導効果
- キチンおよび低分子キチン長期経口投与老齢マウスの免疫細胞に及ぼす影響について