宮城県金華山島における 2 種のシカシラミバエ(双翅目 : シラミバエ科)の生態
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概要
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1. 宮城県金華山島には2種のシカ吸血性のシラミバエ, すなわちLipoptena fortisetosaとL. sikaeがみられる.2. 両種とも有翅個体はヒトにも飛来するが, すぐに飛び去ってしまう.3. 両種とも有翅虫は鹿山と呼ばれる地域の, イヌシデ・モミ林とススキ草原の境界付近で最も多くみられた.4. 有翅虫の出現期間はL. fortisetosaでは5月下旬∿11月中旬で7∿8月にピークに達し, L. sikaeでは9月下旬∿12月上旬で10月下旬∿11月中旬にピークがみられた.またどちらの種でもその末期に雌の割合が高くなる傾向がみられた.5. 3月に発見されたシカ死体からは幼虫や囲蛹とともに両種の無翅個体が得られたが, 9月に発見されたシカ死体からはL. fortisetosaの無翅個体のみが得られた.6. 3月に採集した囲蛹から, 5月に3個体のL. fortisetosaが, 9月に4個体のL. sikaeが羽化した.羽化個体には砂糖水を与え十分に湿度を保った容器内においたがいずれも3日以内に死亡した.7. L. sikaeは年1化性と考えられる.しかし, L. fortisetosaは年1化か2化以上か未だ不明である.
- 日本昆虫学会の論文
- 1979-12-25