リュウキュウホシウスバカゲロウ Glenuroides okinawensis OKAMOTO の幼虫について
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概要
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リュウキュウホシウスバカゲロウは, 野外で発育段階の異なる多数個体を採集した結果, 瀬戸内海の沿岸の砂の中にも生息することが明らかになった.本種の幼虫の形態とその生活史について, つぎの知見が得られた.1. 幼虫の形態および生息場所は, コカスリウスバカゲロウのそれと類似する.しかし, これらの両種は, 大顎の鈎と体の色, 頭部の側縁紋, 腹部下面の紋から区別できる.2. 幼虫は瀬戸内海沿岸の自然海岸のマツ, ススキ, ヨモギなどの植物の根の周辺の砂の中に局所的に分布する.ときどき, コカスリウスバカゲロウのそれとの混交がみられるが, 両種問にはすみわけが認められる.3. 幼虫は, 前進および後退運動によって移動し, 巣穴をつくらず, 砂の中で餌動物を待ち伏せしている.外的刺激にたいしては, コカスリウスバカゲロウの幼虫より強い擬死反応を示す.4. 幼虫は体長3.0±0.1mm, 4.9±0.3mm, 8.4±0.4mmの3グループに分けられた.このそれぞれが順に1∿3齢に相当する.5. 幼虫の体幅/体長比は, 1∿3齢ともほぼ0.41である.しかし, 大顎長/体長比は齢が進むにつれて, 0.31, 0.24, 0.22と小さくなる.6. 繭(砂団子)の直径は7.2±0.7mm, 重さは71±7mgである.営繭から羽化までの期間は平均23日前後である.7. 羽化は6月中旬からはじまる.瀬戸内海沿岸で採集した成虫の前翅長は, ♂23.9±0.8mm, ♀24.7±0.6mmである.8. 寄生昆虫として, アリジゴクヒメバチの一種とクロウマズラアシブトコバチの2種を確認した.前者は5月中旬ごろ, 後者は7月上旬ごろより出現する.2種の寄生率は地域によって差があるが, 10%以下である.
- 1979-06-25