数種ハマキガの幼虫前半期における休眠 : I. 休眠前行動および生活環の特異性
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概要
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1. 北海道産のトビハマキ, リンゴモンハマキ, およびコカクモンハマキの休眠について検討し次の結果を得た.2. 休眠幼虫は次の3段階の休眠前行動を経て静止状態に入り, 環境に変化を生じても直ちに活動を再開することはない.A. 幼虫期前半の或令で(主にトビハマキは第2令, リンゴモンハマキは第3∿4令, コカクモンハマキは第3令), 充分摂食した後, 盛んに歩行し越冬場所を探す.B. 体色は黄濁して緑色味を失ない, やがて吐糸してhibernaculumを形成する.C. 次いで直ちに脱皮して静止状態に入る.3. 15℃, 13時間日長下では, 各種とも休眠直前令の初めから停食まで4∿9日, hibernaculum完成まで10∿24日, その後3日以内に脱皮が行われた.4. Hibernaculum中での脱皮の際頭幅にほとんど成長が認められず, また休眠前後の発育の過程は非休眠個体の発育と明瞭な差異が認められなかつた.5. Hibernaculum中での脱皮は休眠にともなう特殊な現象であつて, 越冬個体は非越冬個体にはない余分な1令を経過することになる.
- 日本昆虫学会の論文
- 1966-06-10